ハイエースのヘッドライトのLED化(1) 製品の仕様
2022/11/07
ハイエースのハロゲンヘッドライトをLED化しました。ハイエースのヘッドライトは配光が良いので、明るさについてはハロゲンのままでも不満はありませんでした。しかし、LED化には明るさ以外のメリットもあります。
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ハイエースのヘッドライトの仕様
ハイエースのヘッドライトの標準仕様は、2灯式ハロゲンです。3型ではオプションとしてロービーム側をHID化した4灯式が追加されました。4型のオプションではロービーム側がHIDからLEDに変更されました。4灯式のハイビーム側は3型も4型もハロゲンです。
- 2灯式:バルブの数は合計2個、バルブはロービーム/ハイビーム兼用
- 4灯式:バルブの数は合計4個、バルブはロービーム用とハイビーム用が独立
ハロゲンをLED化する場合は純正バルブ形状に合う製品を選択する必要があります。純正バルブ形状は2灯式がH4(ロービーム/ハイビーム切り替えタイプ)、4灯式のハイビーム側がHB3です。
型式 | 仕様 | 場所 | ヘッドライト種類 | バルブ形状 |
---|---|---|---|---|
1型~4型 | 標準仕様車 | ロービーム/ハイビーム | ハロゲン/ハロゲン | H4 |
3型 | オプション仕様車 | ロービーム ハイビーム | HID ハロゲン | D4R HB3 |
4型 | オプション仕様車 | ロービーム ハイビーム | LED ハロゲン | - HB3 |
LEDヘッドライトバルブの構造
LEDヘッドライトバルブはバルブの後部にドライバーユニットが一体化されているオールインワンタイプの製品が主流となっています。オールインワンタイプの製品によるLED化はハロゲンバルブをLEDバルブに交換するだけなのでHID化よりも簡単です。HIDのようにバラスト、イグナイター、スライドリレーといった回路を追加する必要はありません。ただし、LEDバルブの後方に放熱ファンやヒートシンク(放熱板)が収まるスペースが必要です。2灯式ハイエースは指2本分の余裕があるので問題ありませんが、3型以降の4灯式ハイエースのハイビーム側は運転席側のマスターバックと干渉するのでLED化は不可能と思われます。
LEDのメリット
大光量(明るい)
LEDはHIDほどの明るさはないもののハロゲンの2倍以上の明るさがあります。また、HIDのように紫外線を発生しないのでリフレクター焼けの心配がありません。
- ハロゲン(55W):約1000lm(ルーメン)
- LED(20W):約2000lm
- HID(35W):約3000lm
こちらの画像はハロゲンとLEDのハイビームの明るさを比較したものです。ハイエースのヘッドライトはハロゲンでも十分明るいのですが、LED化後はより遠くまで明るく照らせるようになりました。
太陽光に近い光色
ハロゲンはやや黄味がかった光を発生するのに対し、LEDは太陽光に近い白色の光を発生します。
- ハロゲン:約3000K(ケルビン)
- LED(車検適合範囲):5500K/6000K/6500K
- HID(車検適合範囲):3000K/4300K/5000K/6000K
- 太陽光:約5500K
ヘッドライトのバルブの色は法律(道路運送車両法)によって制限されています。白以外の色は車検に通りません(ただし、平成17年式車までは黄色もOK)。車検に通る色温度の目安は6000K程度までと言われています。
4-57 走行用前照灯
(中略)
4-57-2 性能要件等
(中略)
4-57-2-2 視認等による審査
走行用前照灯は、(中略)次の基準に適合するものでなければならない。(中略)
②走行用前照灯の灯光の色は、白色であること。
(中略)
4-57-8 従前規定の適用④
平成17年12月31日以前に製作された自動車については、次の基準に適合するものであればよい。(中略)
4-57-8-2 性能要件
(1)4-57-8-1(1)の走行用前照灯は、次の基準に適合するものでなければならない。(中略)
④走行用前照灯の灯光の色は、白色又は淡黄色であり、そのすべてが同一であること。
(後略)
消費電力が同じでも、色温度(ケルビン)が高くなるほど、光色が白から青に近づいていき、明るさ(ルーメン)が低下します。
色温度が高すぎると降雨時などに乱反射が発生しやすくなり視認性が悪化します。
省電力
LEDの消費電力はハロゲンの約半分です。
夜間走行時のバッテリーとオルタネーターへの負荷が軽減されます。
- ハロゲン:55W
- LED:20W~45W
- HID:通常タイプ35W、ハイワッテージタイプ55W
長寿命
私のハイエースのヘッドライトはLED化する前はHID化してありました。過去に2回、スライド機構の故障によりHIDを買い換えていますが、HIDバーナーは点灯機能を喪失することなく、ハロゲンバルブよりもはるかに長持ちしました。
LEDの寿命は製品の仕様や使用条件によって大きく変わるため一概には言えません。しかし、LEDバルブはフィラメントのような球切れが発生しないこと、HIDバーナーのようなスライド機構を持たないことからハロゲンバルブやHIDバーナーよりも長寿命が期待できます。
また、HIDバーナーは1つの光源でロービームとハイビームを兼ねる構造になっているのに対し、LEDバルブはハロゲンバルブと同様にロービーム用とハイビーム用の光源を備えていることから、故障によってロービームとハイビームの点灯機能を同時に喪失するリスクは少ないと考えられます。
ハイエースのバルブ交換はヘッドライトの脱着が必要で乗用車よりも手間がかかるので寿命は長ければ長いほど助かります。
素早い反応
HIDは点灯してから安定した光を発生するまで若干のタイムラグが有るのに対し、LEDは点灯と消灯の繰り返しに素早く反応します。
取り付けが容易
バルブが収まるスペースさえあれば、LEDは回路構成がシンプルなので、HIDよりも取り付けが容易です。
LEDヘッドライトバルブの仕様
私はこれまでLEDヘッドライトバルブを2回購入しています。
初めて購入したLEDヘッドライトバルブの仕様
私は明るさと悪天候時の視認性を重視してHIDでは色温度4300Kの製品を使用していました。そこで、初めてのLEDヘッドライトバルブ購入では、色温度が低めなこちらの製品を選びました。
- メーカー:F○○
- バルブ形状:H4タイプ
- 色温度:5500K(ケルビン)
- 定格電圧:12V
- 消費電力:20W
- 購入店:インターネット通販
- 購入年月:2016年12月
- 購入価格(税込、送料込):14,800円(2個入り)
ところが、ハイエースに取り付けてロービーム側の配光を確認したところ、配光ムラが多く、グレア光も発生していました。これでは光軸をいくら調整しても車検(ロービーム検査)には通りそうにありません。
配光についてはたまたま外れの個体を引いたのかもしれません。しかし、他にもいくつか満足できない点がありました。
- シェードとバルブ本体の嵌合が甘いため、バルブ本体が回転しやすいこと。
- バルブ背面に電源コードを接続する構造になっているので、ヘッドライト裏の障害物(ハイエースの場合はバルクヘッド)の圧迫を受けて電源コードが屈曲すること。
- 電源コードをバルブ本体にロックできる構造になっていないこと。
そこで、別の製品を購入することにしました。その製品が到着するまで引き続き1週間ほど使用しましたが、夕方の街中で雨に降られた時の視認性は最悪で、フォグランプを点灯しないと怖くて走れないほどでした。製品のホームページには、某通販サイトや某SNSで「ランキング1位獲得!」とのうたい文句が記載されていますが、なぜ高評価なのか全く理解できません。
2回目に購入したLEDヘッドライトバルブの仕様
2回目のLEDヘッドライトバルブ購入では、メーカーの信頼性の高さを重視してこちらの製品を選びました。こちらのメーカーは、ラリー等のモータースポーツのサポートを継続的に行っていることで有名です。
- メーカー:IPF
- 商品名:LEDヘッドランプバルブ H4 12V 6500K
- 品番:341HLB
- バルブ形状:H4タイプ
- 色温度:6500K(ケルビン)
- 定格電圧:12V
- 消費電力:24W
- 購入店:インターネット通販
- 購入年月:2017年1月
- 購入価格(税込、送料込):20,190円(2個入り)
ハイエースに取り付けたところ、配光特性が期待以上に優れていて非常に満足しました。
LEDヘッドライトバルブの取り付け
LEDヘッドライトバルブの取り付けは自分で行いました。作業時間は30分ほどでした。取り付け手順については別途記事にしています。
まとめ
ハイエースのヘッドライトをLED化しました。LEDは回路構成がシンプルなので、HIDよりも取り付けが容易です。ただし、ヘッドライトの後方にLEDバルブの放熱ファン(またはヒートシンク)が収まるスペースが必要です。
私が最初に選んだ製品はまともな配光が得られませんでしたが、次に選んだ製品では、ムラの無い配光とHIDに引けを取らない明るさが得られ、ロービーム検査にも問題無く合格できました。